ミニ四駆の改造パーツとして欠かせないのが、「ベアリング」。
そんなベアリングは、新品の状態では本来の回転の良さは引き出されていません。
ベアリングローラーの場合も、「脱脂」や「内圧抜き」をすることでローラーの回転数に違いが出てきます。
✅この記事の内容
- ローラーが回らない原因
- 回るベアリングローラーにする方法
- ベアリング脱脂のやり方
- ローラーの内圧抜きの方法
この記事では、ベアリングローラーを回るようにする方法について。
原因や調整方法、実際の脱脂のやり方についても紹介します。
ミニ四駆に欠かせないベアリングローラーも、脱脂や内圧抜きをすることで性能を引き出すことができます。
- STEP1ローラーからベアリングを外す
- STEP2ベアリングを脱脂
- STEP3ローラーの内圧を調整
- STEP4ベアリングを取り付ける
- STEP5ベアリングオイルでメンテナンス
新品のベアリングほど、最初はサビ止めのグリスが多く入っています。
しかしこのグリスが抵抗となって、ベアリングローラーの回転にも影響が出てきます。
さらにベアリングローラーにも個体差があるので、ローラーによってはベアリング部分がキツく圧入されているものも。
これによってベアリングの回転に影響が出るので、内圧を調整する必要もあります。

この「脱脂」や「内圧抜き」という一手間を加えるだけで、ベアリングの性能向上やマシンの速さにも良い影響となってきます。
ローラーが回らない原因
原因①:新品のベアリングだから
新品のベアリングローラーは、ベアリング内にグリスが入っているためベアリングローラーとしての回転性能に影響を及ぼしてきます。
未開封の新品のベアリングには、サビ防止のためのグリスが入っています。
このグリスは、金属であるベアリングが錆びないように保護するため。
しかしこのグリスが、ベアリングの性能面では悪い方に影響してくる部分もあります。
固まったグリスが抵抗となって、ベアリングローラーとしての回転精度に大きく影響してきます。
脱脂によってベアリング内の抵抗をなくすことで、より性能の高いベアリングローラーを使うことが可能になります。

開封直後の新品ベアリングローラーほど、脱脂による効果が大きく出てきます。
原因②:ローラーの内圧が高いから
ベアリングローラーが回らない原因のひとつには、ローラーのベアリングに対する内圧が高い場合もあります。
ベアリングローラーは、中心に520ベアリングが内臓。
このベアリングの回り具合で、ローラーの回転数も決まってきます。
520ベアリングは、その名の通り外径の大きさは5mmです。
520ベアリングより径が小さいため、内部のベアリングが圧迫されてしまいます。
なので新品のベアリングローラーでも、ベアリングの圧入具合による個体差によって最初からよく回るものもあれば回らないものもあります。
ベアリング圧入部の構造としては、少しテーパー状になっています。
このテーパー状構造がキツすぎる場合、回転時にゴリゴリという感触があってあまり回らない場合が。

ベアリングへの圧を減らすため、ローラーから外して圧迫を解消する必要が出てきます。
ベアリングの「脱脂」
脱脂でベアリング内のグリスを抜く
ベアリングの脱脂は、ベアリングの性能向上のために必要になってきます。
「脱脂」とは、文字の通り油分を抜くこと。
ベアリングの場合であれば、パーツ内にある油分をクリーナーによって溶かしてパーツ外へ出すことになります。
ミニ四駆の改造パーツの中に、ベアリングが使われているものは多いです。
- ベアリングローラー:520
- シャーシの軸受け:620,HG丸穴
- カウンターギヤ:520,620
これらのパーツは、ベアリングの回転の良さによっても性能が変わってきます。
このベアリングの精度の良さというのは、マシンの速さにも大きく影響してきます。

脱脂をしてベアリングの性能を上げることで、 マシンの速さにも大きなメリットとなってきます。
脱脂による効果
ベアリングローラー① | ベアリングローラー② | |
脱脂前 | 3秒 | 4秒 |
脱脂後 | 9秒 | 10秒 |
実際に脱脂をすることで、脱脂前後ではローラーの回転数にも差があらわれました。
今回はローラーに内蔵されている520ベアリングを外し、同じ条件で脱脂。
全てのベアリングを、同時に3回脱脂をしています。
脱脂による効果は、結果をみればあきらか。
これは、ベアリング内で回転の抵抗となっていたグリスが抜けた結果。
ミニ四駆にとってのベアリングは、回転性能がマシンの速さにもつながってきます。
長く回転すれば良いというだけではありませんが、少なくとも回らないベアリングよりも回るベアリングの方が速度にはメリットになってきます。
回るベアリングローラーにする方法
脱脂と内圧抜きに準備するもの
パーツクリーナー
「パーツクリーナー」は、ベアリングの脱脂に必要になります。
パーツクリーナーとは、車や自転車などの金属部品のメンテナンスに使われるもの。
金属部品に使うことで、余分な油成分を落としてくれます。
ベアリング内の抵抗がなくなり、スムーズなベアリングの回転になってきます。
しかしパーツクリーナーにも、種類があります。
パーツクリーナーの成分によっては、ゴムを劣化させてしまうものも。
なので使用する際は、パーツクリーナーの成分や用途などを確認する必要がある点には注意が必要です。
脱脂に使うパーツクリーナーとしては、「ガリウムクリーナー」などでも代用可能。

同じように不要なグリスを落としてくれるので、脱脂用のクリーナーとしてもおすすめです。
商品リンク:ワコーズ BC-9 ブレーキ&パーツクリーナー9
商品リンク:ガリウム クリーナー300
おすすめのクリーナーについては、こちらの記事でも紹介しています。
スペアボトル(フタ付きの小瓶)
ベアリングの脱脂作業をする時は、「スペアボトル」も必要になります。
脱脂に必要となってくるのが、しっかりとフタの閉められる小瓶。
ベアリングを入れ、パーツクリーナーで浸すために必要になってきます。
脱脂の際は、パーツクリーナーを入れた小瓶を振りながら脱脂を行います。
なので振りながら脱脂を行う上でも、しっかりとフタが閉められる小瓶が必要になってきます。
蓋付きの小瓶であれば、タミヤからもスペアボトルが発売されています。
さらに今では、100均でも手に入れることは可能。

一度に多くのベアリングを脱脂する場合は、少し大きめの方が使いやすくなってきます。
商品リンク:タミヤ スペアボトル
キムワイプ
脱脂後のベアリングの取り出しには、「キムワイプ」も必要になってきます。
洗浄後のベアリングを拭き取る際に必要なのが、「キムワイプ」。
キムワイプは表面の粗さがないため、精密機器の拭き取りなどに最適。
ティッシュのように繊維が表面に付着することがないので、ミニ四駆でもいろいろな場面で使われています。
脱脂後のベアリングは、パーツクリーナーを乾燥させることも必要。
なので、表面の粗さがないキムワイプなどで保護してあげることも大切になってきます。
キムワイプは、ミニ四駆の改造やメンテナンスでも必須のアイテム。

脱脂以外にも使う場面があるので、手元に置いておいて間違いはありません。
商品リンク:キムワイプ 12×21.5cm /1箱(200枚入) S-200
ハンドリーマ(5mm径)
ベアリングローラーの内圧調整をする際は、「5mm径のハンドリーマ」もおすすめです。
「リーマ」とは、穴の拡張や形を整えるのに便利な工具。
520ベアリングは5mm径なので、5mmのリーマで内圧調整することでベアリングへの締め付けを抑えることができます。
もちろん、リーマなどの工具がなくてもローラーの内圧調整は可能。
ヤスリで削りすぎてしまった場合、ベアリングが緩くなってしまって使えないローラーになってしまうため。
あくまでも、ローラーの内圧抜き用の工具になってしまうリーマ。
しかしリーマがあるだけで内圧抜きの失敗のリスクを減らすことができ、作業効率も大きく上がってきます。

持ち手部分に余りがちなゴムパイプを付けることで、手作業でも使いやすくなります。
商品リンク:JTMIX 5mmチャッカーリーマ
ベアリングオイル
洗浄後のベアリングのメンテナンスとしては、「ベアリングオイル」も必要になってきます。
脱脂では、ベアリングの回転を良くするためにサビ止めのグリスを抜いています。
なので脱脂後のベアリングを長持ちさせるためにも、オイルの注入が必要になります。
ベアリング用のオイルとしては、いろいろな種類が発売されています。
タミヤから発売されている、ベアリングオイルはもちろん。
今はネット上でも、目的に合わせたベアリングオイルがいろいろと発売されています。
実際に使うベアリングオイルについては、使い方や好みによって人それぞれ。

しかし脱脂後のベアリングのメンテナンスという部分では、ベアリングオイルの注入は必要になってきます。
商品リンク:ミニ四駆 ベアリングオイル
商品リンク:スーパー超低粘度ベアリングオイル『まわるっちゃん』
おすすめのベアリングオイルについては、こちらの記事で紹介しています。
ローラーからベアリングを外す方法
ベアリングチェンジャーの場合
圧入されている520ベアリングをローラーから外す場合、「ベアリングチェンジャー」などの工具を使うのがかんたんでおすすめです。
ベアリングチェンジャーなどの工具であれば、ベアリングローラー専用のため手軽にベアリングを外すことが可能。
外したいベアリングローラーをセットし、ベアリングに圧をかけて外していきます。
ベアリングチェンジャーを使うメリットは、ローラーをしっかり固定して外したり圧入したりできること。
これによってローラーに対して真っ直ぐ、ブレることなくベアリングを調整することが可能です。
またベアリングの取り外しを考えられている工具ほど、ベアリングの外側に負荷をかけて外せるように作られていてベアリングに負担がかからないのも特徴。

ベアリングの圧入の仕方によってローラーの回転具合が変わってくるため、専用の工具による付け外しは間違いありません。
商品リンク:mokedo-factory 520ベアリングチェンジャーⅡ
商品リンク:ミニ四駆 ツール ベアリングチェンジャー
身近なパーツを使う場合
ベアリングローラーからベアリングを外すのは、身近なミニ四駆パーツを使っても可能です。
実際に使うパーツとしては、「20mm以上のビス」と「スペーサー」。
そして「片軸のカウンターギヤ」と「ナット」を用意すれば、ベアリングを外すための治具となってきます。
- STEP1ビスにスペーサーとローラーを通す
- STEP2カウンターギヤを通してナットで固定
- STEP3ビスを締めつけていく
- STEP4ローラーからベアリングが外れる
余ったミニ四駆パーツだけでできることからも、専用の工具無しでかんたんにベアリングの取り外しが可能。
真っすぐに力を入れる必要があるなど、注意しながらの作業も必要となってきます。
マシンキットやGUPに付属しているパーツがほとんどなので、初心者でもかんたんにローラーからベアリングを外すことができます。
ベアリング脱脂のやり方
次に、ローラーから外したベアリングを脱脂していきます。
- STEP1蓋付きの小瓶にベアリングを入れる
- STEP2ベアリングが浸るくらいまでパーツクリーナーを入れる
- STEP3蓋を閉めて小瓶を降る
- STEP4濁りが無くなるまで2〜3回くり返す
- STEP5ベアリングをキムワイプ上に取り出す
ベアリングの種類によって、脱脂の仕方も変わってきます。
特に620ベアリングの場合、外側のシール部分を剥がすことが可能。
よりしっかりと脱脂をしたい場合は、外側のシールを剥がしての脱脂も有効です。
スプレー缶だと勢いもあるので、付属のノズルなどで小瓶の中にパーツクリーナーを貯めていく方が安全でやりやすいです。
ベアリングを小瓶に入れて振っていると、白い汚れが浮いてきます。
この白い汚れが、ベアリングに入っているグリス成分
なので白い汚れが目立たなくなるまで、くり返し脱脂を行なっていきます。
脱脂を終わらせる目安は、どれだけ脱脂したいかでも変化。
何度かパーツクリーナーを入れ替えるほど、濁りが少なくなりベアリングのグリス成分は無くなっていきます。

ベアリング内の抵抗としては少なくなりますが、まったくグリスが無い状態というのも人によって好みが分かれる部分です。
ベアリングローラーの内圧抜き
ベアリングを外した後、ローラーの内圧抜きをすることで回転がスムーズになってきます。
ローラーの内圧抜きとしては、ローラーの中心部を520ベアリングに負荷がかからない大きさに調整していきます。
この時に使うのが、5mm径のリーマ。
もし手元にない場合は、「棒ヤスリ」や「紙ヤスリ」でも代用が可能です。
ベアリングの穴を少しずつ削っていき、ベアリングを圧入した時に負荷がかからない大きさを目指します。
この時、微調整しながら削っていくことが重要。
ベアリング穴を削りすぎてしまうと、取り付けた時に走行中の衝撃によってベアリングが抜け落ちやすくなってしまうため。
少し削ってはベアリングを戻して確認、削り足りなければまたベアリングを外して削る。
根気のいる作業にはなってきますが、失敗しないためには大切になってきます。

スムーズに回るローラーにするためには、ローラーの内圧調整も必要な作業となってきます。
ベアリングの取り付け
ベアリングの脱脂や内圧抜きが終わったら、取り外したベアリングを取り付けていきます。
ベアリングの取り付けは、外す前と同じように圧入していくだけ。
手作業での圧入も可能ですし、取り外した時の治具を反対にして使うことでも取り付けは可能です。
ベアリングの圧入する際に気をつけたいのが、ベアリングの向き。
なので圧入する際は、幅の狭い側から圧入していく必要があります。
圧入する向きを間違えると、スムーズにベアリングを取り付けることができません。
ベアリング自体が斜めに圧入される場合もあり、結果的にローラーの回転に影響するので注意が必要。

ベアリング取り付け後は、ローラーを横から見てベアリングがはみ出していないかのチェックも大切です。
ベアリングオイルを挿す
ベアリングの脱脂後、潤滑用のベアリングオイルを使うかどうかでもベアリングの回転性能は変わってきます。
ベアリングの脱脂をした際に大切なのが、錆止め用のグリスを抜いてしまっていること。
脱脂では本来錆止め用として入っているグリスを抜くことで、ベアリングの回転性能を上げています。
なのでベアリングの性能維持のためには、ベアリングの保護も必要に。
そんなベアリングの保護のために使われているのが、「ベアリングオイル」。
今では「タミヤのベアリングオイル」をはじめ、いろいろな種類のベアリングオイルが発売されています。
実際に脱脂後のベアリングを比較してみても、ベアリングオイルの有無によって若干差が出てきていました。
ベアリングローラー① | ベアリングローラー② | |
脱脂前 | 3秒 | 4秒 |
脱脂後 | 9秒 | 10秒 |
脱脂後オイル | 15秒 | 17秒 |
3日後 | 14秒 | 13秒 |
脱脂による回転性能のアップは、脱脂直後が1番効果が高い。
しかし脱脂をしてから時間が経つほど、脱脂による効果も薄れてきます。
もちろん数日であれば、誤差程度の範囲。

しかし脱脂後ずっと使い続けているベアリングの場合、脱脂直後に比べて回転性能は落ちてきてしまうことになります。
おすすめのベアリングオイルについては、こちらの記事で紹介しています。
回るローラーにする方法 まとめ
ミニ四駆の「脱脂」は、ベアリングの性能を引き出す上でも欠かせません。
新品のベアリングのサビ止めも欠かせませんが、このグリスが抵抗となってベアリングの回転にも影響が出てきます。
この脱脂という一手間を加えるだけで、ベアリングの性能向上やマシンの速さにも大きなメリットとなってきます。
おすすめのベアリングパーツについては、こちらの記事で紹介しています。
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